漫画家のなり方

漫画家アシスタントの収入、生活―期間を決めて、お金をもらって修行しよう!

「漫画家を目指すにあたって、アシスタントはしておいたほうがいいのかな? でも、収入は?」と不安に思っている方へ向けての記事です。

こんにちは。青年向けの漫画家を13年しまして、売れなくて経済的にいきづまり、現在は地元にもどって結婚し、会社員をしていますネコム(@necom_anarchy)です。

アシスタント、もしできるなら経験しておいたほうが”絶対”いいです。

漫画の技術的なことを学べるほかに、「自分が売れてアシスタントをお願いする立場になった場合」にとても参考になります。

友人や後輩におねがいするならいいですけど、初対面の人が相手の場合は、お金や拘束時間など、常識的な相場やニュアンスを知らないとトラブルにもなりかねません。

ただ、「お金をためる」には向かない職業です。お金をためて1年くらい創作に専念したい、というのでしたら、ボーナスも出る会社員がおすすめです。

わたしが実際に漫画家アシスタントに行った現場での平均的な待遇については、「漫画家デビューにアシスタント経験は必須! の意外な理由」をご参照ください。

会社員をやりながら漫画家を目指すコツについては、「漫画家と会社員を両立するため、会社選びを真剣にやるべし」も参考になるかと。

漫画家アシスタントの収入は、1日8000円から

編集さんに聞いたところ、アシスタントの日給はだいたい”先方の漫画家の原稿料1枚分”が相場、だとのことでした。

1ページにつき8000円もらっている作家さんのところに行くとすれば、1日8000円ですね。

原稿料が安い作家さんのところに行く場合、アシスタントさんの人数もあまりたのめないので、アシスタントにまかされる仕事は比較的、簡単なものばかりです。

トーン作業や、アナログなら消しゴムかけ、デジタル取りこみならスキャンして原稿のゴミ取り、下塗りまででしょうか。

描ける人になら、たまに小物を描くくらいはまかせてもらえるかもしれません。

背景がしっかり描けるレベルになると、昇給します。

学校の廊下くらいの簡単な背景を描くていどで9000円。背景ぜんぶをまかせることができる人は、たいてい描く速度も速くて、1万3000円くらい。

このレベルでないと「専業アシ」で生活していくのは、むつかしいんじゃないでしょうか。

また、アシスタントさんが1~2名ほどの作家さんのアシスタントになるのはさほど困難ではないですが、

アシさんが常時4~5人以上いるような売れっ子漫画家のアシスタントになるのは、けっこう狭き門です。競争率がバカ高いです。

漫画家アシスタントの勤務時間。多くが12時間拘束、休憩なし

ちなみに拘束時間は、日帰りだと12時間というところが多かったです。11時に出勤なら、帰りは23時になります。

つまり、背景がうまくて1日に1万3000円もらえるようなスゴ腕のアシスタントさんも、時給にしたら1000円前後ということです。

もうかる仕事ではないです。(みなさんやっぱり、好きだからやっている=やれている、のだと思います)

あいだにお昼休憩・夕食休憩が入ります。休憩とはいっても、食べている時間だけ手を止めることができるという感じで、食べ終わったらほぼすぐ作業にもどります。

基本的に、アシスタントが入っている時期というのは漫画家さんにとっては、締切直前のとても忙しい期間、いわゆる”修羅場”です。

漫画家アシスタントをしようというような人なら、自分の原稿もそんな感じで仕上げているでしょうし、気持ちもわかるしとくに苦にはならないんじゃないかと思います。

逆に、たまに漫画家さんご自身が煮つまったりすると、「あー‼ 一緒に散歩いきましょう」とか誘われて、会話しながら近所をブラブラすることもあります。

漫画家さんは話がおもしろい人が多いので、気まずくはならないです。

漫画家アシスタントの生活。ド修羅場で泊まりの場合

泊まりでもだいたいは、現場によって時間が決められていて、たとえばわたしが行ったところは以下のようなスケジュールでした。

7時起床、身支度
8時朝食(食べ終わってすぐ作業)
12時昼食(食べ終わってすぐ作業)
18時夕食(食べ終わってすぐ作業)
21時交代で入浴(出たらすぐ作業)
23時まで仕事、身支度して
24時ごろ就寝

そこまで忙しくない場合は、7時間くらいは寝かせてもらえます。

締切前夜などは、フル徹夜です。たいてい時給計算で「ふだんより多いな」くらいの時間外手当がいただけます。

(漫画家さんのさじ加減です)

仕事は3日連続が限度。休みを入れないと洗濯や家事ができない

このように自分の時間がいっさいとれない勤務形態なので、日帰りにしろ泊まりならなおさら、連続勤務は3日が限度です。

一人暮らしの場合、洗濯物がたまったり、自分の部屋の掃除ができなかったりします。買っておいた食材も腐ります。

新人アシスタントとしてまる1か月生活するとしたら、けっこうスケジュールを詰めぎみにとったとしても、収入は月22万円くらいでしょうか。

で、それらは所得税とか住民税とか健康保険料とか年金とか引かれていない額なわけで、会社員の給料だとしたら、ザックリ17万5000円くらいに相当します。

くりかえしますが、1日12時間拘束で、おおまかに週休2日、たまに残業アリで、です。

なんとか暮らしていけないことはないですが、若いうちの数年しかもたないと思います。ボーナスもないので、大きな出費があったらアウトです。

家電が壊れたり、入院したり、事故にあったり、自然災害があったり。親友の結婚式に呼ばれても、参加できないかもしれません。

高スペックPCや液タブなど、高額な画材は買えません。映画や美術展に行くのにも、気合がいります。

自分で「アシスタントをするのは○年間」と、決めておくのをすすめます。

アシスタントとして生活していきたいのだったら、日常的に練習を欠かさず、先生にも積極的にアピールして少しずつ背景作画をまかせてもらうのが必要かと。

漫画家アシスタントは、当然だが定年までできる仕事ではない

プロアシといって、「そのうち漫画家になろう」ということではなく、アシスタント専門で生活している方もいます。が、「背景がほぼなんでも描けるレベル」でないとキツイです。

プロアシさんとは、3人ほど一緒の現場でアシスタントのお仕事をしたことがあります。

1)30代前半の男性。工場勤めも同時にしていて、工場に専念するといってアシスタント現場をお辞めになりました。

2)40代中盤の女性。キツイ性格でいらして、短期の現場をわたり歩いている印象でした。

3)50代前半の女性。もと少女漫画家さん。泊まりもこなしていたが、体力的にしんどそう。

漫画家さんの連載も無限につづくわけではないので、期間の保証のない不安定な業務形態です。

また、実家ぐらしでないと、金銭的に貯金する余裕はないと思わます。

大御所の漫画家さんが会社形式で経営しているスタジオに、会社員として入社してアシスタント業務をする、という道もあります。

ただ、募集の数自体が少ないです。

フリーランスであれ会社員形式であれ、アナログからデジタル作画に主流がうつり変わっていったように、時代の流れにあわせて技術をブラッシュアップしていかないと、仕事がなくなります。

長期間の人間関係がムリとか、漫画を描く以外はいまいちドジばかり。というのであれば、会社員よりは生きやすいかもしれません。

「収入が安定する」会社員・公務員。「ネタを考えていられる」体を動かす系アルバイト

働きながら漫画家を目指す、のであれば、定時で帰れる会社員・公務員を数年して、お金をためて創作に集中する期間を持つ。あるいは、定時後にコツコツ描きためる。

もしくはお金の面ではキツイですが、あまり考えなくともできる単純作業をくりかえす系のバイトをしながら、頭の中でネタを考える。などのルートもあります。

自分に合う方法で、極論すれば「自分ができる方法で」やっていくしかないわけで。迷っている時間があるなら、どれでもいいので面接を受けに行ったほうがいいです。

まとめると以下の感じです。

【漫画家アシスタント】技術があがる。お金の面ではキツイ。時間の面でもキツイ。精神的にはラクかも?

【定時で帰れる会社員・公務員】お金の面では安心。お金をためれば将来的にまとまった時間がとれるかも? 精神的にはふつう。

【単純作業のアルバイト】お金はキツめ。時間はふつう。精神的にはキツメだが、スキをみてネタを考える余地はある。体力がないとキツイ。

【定時で帰れない会社員】全力で逃げろ。(いやもしその仕事が好きになったなら、全力でやってください、ですが)

漫画家アシスタントとして場数をふむと、スキルがあがる。パースが自然にとれる

わたしがアシスタントに行った先の漫画家さんは、デビュー前に有名漫画家さんのアシスタントを4年くらいしていて、背景をガッツリ描いていたので、少しの背景なら下描きなしでペンで直接パースとって描いてました。

そのくらい、いい現場にめぐりあって集中して勤務すると、びっくりするほど技術があがるのが「漫画家アシスタント」です。

絵にイマイチ自信がないのであれば、漫画家アシスタントをあるていどの期間、経験しておくことは圧倒的におすすめです。デジタルの手法も、いろんなバリエーションを学べます。

ただ収入と、長期的な安定はないので、あるていど自分で期限を決めて切りあげることも必要です。

もし漫画家として連載を持ったら、絵の技術がないのはものすごく苦しいです。練習している時間はとれない。先細り。

なので、機会があったらやってみてはどうでしょうか。というおすすめです。

ともあれ、漫画家アシスタントとして採用されるにも、なるべく自分の絵の技術をあげるしかないわけです。

遠回りでお金をためるもよし、体当たりで現場に出るもよし。できるところからやってゆきましょう!