漫画家のなり方

マンガ背景の描き方のコツ! プロ現場での効率的な略し方3つ

マンガの背景について説明している本やサイトは数あれど、実際のマンガに1コマ1コマ描くとなると、かなりむつかしい上に時間もかかる。 

この記事では、プロ漫画家の現場で実際におこなわれている効率的な背景の描き方、雑&ヘタに見えないようにギリギリ簡略化する方法をお伝えします。 

こんにちは。プロ漫画家として13年生活し、経済的に破綻しまして現在は会社員をしていますネコム(@necom_anarchy)です。 

アシスタントとしては、おもに青年誌の漫画家さんにお世話になりました。通いで行った現場は十数件、期間は最長で(ブランクはありますが)3年ほどです。 

背景の描き方の本やサイトでは教えてくれなかった、自分が「そうやるのか!」と目からウロコだった「実際のマンガに、背景の知識をおとしこむコツ」をお伝えします。 

ふつうのコマはタテ線を垂直方向に統一する

決めゴマや、どうしても角度が必要な表現のコマ以外は、タテ線はまっすぐタテで固定してしまいましょう。 

写真をもとに背景をそのままトレースすると、ゆがみなどもあり、本来タテにまっすぐのはずの線が、原稿用紙に対してどうしてもナナメになってしまうことがあります。 

また、実際には電柱や道路標識は、地面に対して垂直に立っているとは限りません。ナナメに立っている場合も多いです。 

これらを簡略化=デフォルメして、描きやすい単純な1点透視図法にします。 

例) 

↓ 

本来、タテまっすぐであるはずの電柱、建物の線などを赤色でなぞりました。 

これを、画像に対してまっすぐタテのガイド線(グリッド線)を黒で引いてみます。 

赤い線をちょっと長くしてわかりやすくしてみると、黒のガイド線にくらべて、けっこうナナメっていることが見てとれます。

これらを忠実に描いていると画面が不安定になるので、タテはまっすぐ垂直にタテ、で統一します。 

また、微妙に上下にパースがついている場合(3点透視図法)も、消失点をとても遠くにとらなくてはならないので、1点透視図法(または2点透視図法)に略します。 

ちなみに電柱は、上下ともおなじ太さではなく、上にいくにつれ微妙に細くなっているものなので、上下のパースとは別に、上部は少し細く描写してください。 

(写真の比率を目分量で参考にする程度で大丈夫です) 

3点透視図法をつかうときは、思いきってパースをかける

上でも述べたように、中途半端にゆるやかなパースをかける(消失点を遠く設定する)と、描くのにとても手間がかかります。 

ダイナミックにパースをかけ、動きのある絵にしましょう。 

消失点がたくさんある構図をさける

たとえば、曲がりくねった道とか。のぼりくだりの坂道など。 

建造物が平行・垂直のさいの目のような配置になっていない景色は、消失点が無数にできます。 

ものがたり上での必要性がない限り、なるべく避けるのが得策です。 

↑上から見た図。まっすぐな道に、平行に建物が並んでいる場合はすべての建物の消失点は同一ですが、

↑おなじく上から見た図です。

曲がりくねった道の場合、たとえば角度ごとに道と建物の消失点は変わってきます。茶色い部分、緑の部分、青い部分の消失点がそれぞれ同一です。

この絵の場合、消失点は3種類あることになります。

むつかしい構図を描いたほうが勉強にはなるので、時間に余裕がある場合、締切がない投稿作品などについては、積極的に描いていくのもいいと思います。 

まとめ:マンガ背景の描き方のコツ! プロ現場での効率的な略し方3つ

現代は写実的な絵が好まれる傾向にありますが、マンガ絵のキモは「デフォルメ」であります。

と、マンガの神様・手塚治虫先生も『『マンガの描き方―似顔絵から長編まで』手塚治虫』のなかで言っていました。

※わたくしによる感想文は「手塚治虫『マンガの描き方』―もと漫画家による感想文」をお読みください。

背景がヘタだと雰囲気だいなしですが、反面、不必要な描写に時間をくうよりはもっと物語の重要な部分に手間をかけるべき。

いい感じに略して、最大限の「伝わる表現」を目指していきましょう!