マンガ技術関連

『描きたい!!を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方』感想ー空知先生は異次元

描きたい!!を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方』の感想です。

漫画家志望者のほかに、『銀魂』の空知英秋先生のファンの方は「買い」です。

空知先生による2ページの短編ネームが2本入ってますが、どちらも面白いです。ネームとはいえしっかり絵が入ってます。アンケート回答も有。

少年ジャンプ編集部からはマンガ指南書として、1985年に『鳥山明のヘタッピマンガ研究所』、2011年に村田雄介先生(@NEBU_KURO)による『ヘタッピマンガ研究所R(リターンズ)』が刊行されています。

過去記事でそれぞれ内容を紹介しています。よければご参照ください↓

今回はキッパリ「編集者の立場から」、「小学生向けへの視点はほぼ捨て、高校生以上の読者へ」(よりリアルな「マンガ投稿者」層へ向けて)、というスタンスのようです。

こんにちは。わたしは2000年から青年マンガ家として13年ほど生活し、売れなくて廃業。地元に戻って会社員したり辞めたりしているネコム(@necom_anarchy)と申します。

第1章 技術論の前に「描きたいもの」を育てる

↑裏表紙の下の部分(帯も同様の内容)です。

基本はmato先生(@mozu_hayanie)の描くマンガの主人公、高校生の「コーセイ」くんが、ジャンプ編集部に持ち込みをし編集者の「サイトウ」さん(実在)に出会い、売れっ子マンガ家になってゆく。という構成です。

マンガ部分あり、文字での会話部分あり。途中で現実のジャンプ作家さんの2ページ作品のネーム、アンケート回答などが挟まれます。

ほかデジタル作画アナログ作画について同じくらいの分量で技術的な説明があります。文章のみの説明ではありますが、とても実用的。実際に投稿作品を描いたことがあるレベルの人なら理解可能なレベル。

理解可能かつ、「あ、これ知らなかった」ってお得情報が、デジタルでもアナログでもちょこちょこ見つかると思います。

デジタルではクリップスタジオの実用的な細かい使い方(機能)、アナログでは具体的に製品名をあげてペン、消しゴム、定規の説明をしています。

ちなみに過去記事で「クリスタは買い切り版があるうちに買っておいたほうが絶対にいい話」をしていますので、ご興味あれば。

あとは、「マンガ家志望者から寄せられるよくある質問」への回答。

で、この本では一貫して「技術うんぬんの前に、まずは”自分が描きたいもの“を明確にしよう」というメッセージが強く打ち出されています。

「まずはマンガで食えるようになりたい」と編集者におもねった話ばかり描いていたわたしにとっては、まさに「それな」という内容でした。(マンガを描くのが苦痛になりました)

第2章 2ページマンガを描こう

「まずは短い話を完結させよう!」&「描く人によって内容は様々、正解はない!」ということで、現役ジャンプ作家さん4名による、お題を限定した2ページのネームが2本、参考に掲載されます。

  • 白井(しらい)カイウ先生
  • 附田祐斗(つくだゆうと)先生
  • 筒井大志(つついたいし)先生
  • 空知英秋(そらちひであき)先生

編集者「サイトウ」さんの言葉を引用しますが、「空知先生は……なんというか異次元だね」って感じです。すでにネームじゃない書き込み具合だし、ネタもぶっとんでるし、本気すぎる。

現場での実際のネーム(丸かいてチョン、くらいの絵の完成度のヤツ)も知れれば、空知先生のように「編集者だけが見るわけじゃなくてどうせネームを見慣れてない読者が見るんだ、絵もそれなりに入れておかないと伝わらないだろ」みたいな計算も垣間見れたり。

第3章 ジャンプ作家アンケート

16名のジャンプ作家さんへ、おもに「デビュー前に何をしたか?」などの工夫をアンケート。

  • 芥見下々(あくたみげげ)先生
  • 尾田栄一郎(おだえいいちろう)先生
  • 久保帯人(くぼたいと)先生
  • 吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)先生
  • 佐伯俊(さえきしゅん)先生
  • 附田祐斗(つくだゆうと)先生
  • 篠原健太(しのはらけんた)先生
  • 白井(しらい)カイウ先生
  • 出水(でみず)ぽすか先生
  • 空知英秋(そらちひであき)先生
  • 田村隆平(たむらりゅうへい)先生
  • 筒井大志(つついたいし)先生
  • 藤本(ふじもと)タツキ先生
  • 堀越耕平(ほりこしこうへい)先生
  • 松井優征(まついゆうせい)先生
  • 矢吹健太朗(やぶきけんたろう)先生

読み応えたっぷり。共通する項目があったりで興味深いです。(いろんな連載作の第1話を読みまくって勉強した、など)

個人的に「藤本タツキ先生、こういうのちゃんと答えるのかな?」と疑問でしたが(コミックスであんまりコメント書いたりしてないので)、文章量はそれなりにありました

でもほかの先生方にくらべると「短けー!」、でも「デンジくんとしゃべってるみたい!!」

全体的に、さすが週刊作家さんたちだけあって「練習量もハンパねーな!」って感じで、想像しただけで気絶しそうでした。

マンガ家志望者&二次創作をしている人は迷わずGET

そんな感じで、掲載されているジャンプ作家さんのファンとしてもたのしめるし、ジャンプに投稿しないまでもマンガを描くこと全般に参考になる本でした。

「ジャンプ編集部の本気」って感じでした。

こういうマニュアルをつくって、かつ誰でも読めるように世に出すからこそジャンプ作品の繁栄はあるのかなー、と思ったり。

ほかの出版社・雑誌でもやればいいのになー。と思いました。これが成立するだけの売れっ子作家さんを数多く抱えている出版社・雑誌もあるだろうに。

雑誌のファンにとってはオールスター戦みたいなもんですよ。TBS感謝祭ですよ(ちと違うか)。

そんな感じで、わたしがおすすめするまでもないですけど、読めてとても大満足です。

おわります。

描きたい!!を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方