マンガ技術のおすすめ本

レビュー「ゼロから学ぶプロの技 神技作画」toshi 練習帳なぞるべし

ゼロから学ぶプロの技 神技作画』toshi著 KADOKAWA のレビューです。

電子書籍ではなく、紙の本で手に入れるのが絶対におすすめです。

なぞり描きで勉強できるからです。

【よきポイント】

  • なぞって描ける、適度な大きさのイラスト作例が豊富
  • パースのついた人体が描ける(写真ではなかなかない)
  • 球形パース、魚眼など上級者向けのアレンジも学べる
  • パーツごと、キャップのつば、メガネの描き方も詳しい
  • 動きのある絵が描ける

なぞって描ける、適度な大きさのイラスト作例が豊富

付録で「なぞって覚える練習帳」がついてきます(A5版/教科書サイズ)。

お手本が水色のインクで印刷してあり、それをなぞり描くドリルです。

作例が大きくて描きやすい。

「なぞって覚える練習帳」が終わったら、本編に出てくるイラストを全部トレーシングペーパーなどでなぞるのもおすすめです。

ちなみにトレーシングペーパーについては過去記事『アナログで漫画を描く際マジ有能なトレーシングペーパー/A4薄口でOK』もご参照ください。

本自体のサイズは、B5(大学ノート)より少し大きめ。

作例もなぞるのには充分な大きさです。

文字での説明だとやはりわかりにくい。問答無用でなぞって姿勢やそのときの手の向き、指の形などを脳にインプットするのにいいです。

パースのついた人体が描ける(写真ではなかなか見当たらない)

↑俯瞰、アオリの写真素材を探してもいい塩梅の角度のものがあまり見つからない

写真だとなかなか、マンガっぽいパースのついた人体の資料って見つかりません。

あってもリアルの俯瞰の写真だと、詰まりすぎてイラストとして映えない

こちらの表紙のようなシルエットだと、リアルの人物としては細長すぎるとは思うのですが、イラストとしてわかりやすく見栄えがします

写真で俯瞰や呷りの参考資料を探すとなるといい感じの角度のものが見つかりにくいです。

が、イラスト向きのいい感じの角度がついた作例が豊富です。

パンチやキックで手や足だけがこちらに突き出されて大きい、みたいな構図の作例も多数。

描き写すことで小さい部分、大きくなる部分のバランスがつかめてくると思います。

球形パース、魚眼など上級者向けのアレンジも学べる

ゼロから学ぶプロの技 神技作画』toshi著 KADOKAWA をトレス練習したもの。変形パースの作例が豊富。

ほか「球を使ってパースを付ける」「変形パースで考える」(パースにたわみをつける)などのマニアックな項目もあります。

これまで考えてもみなかった表現が理屈で(パースの補助線つきで)紹介されており、個人的に目からうろこが落ちました。

あらためて考えてみれば、アニメなどには迫力をつけるためこのようなパースが使われていたかも? そういえば。といった感じです。

マンガでもかなり使える、というか意識していないだけでこれまでもたぶん見てきたのかもしれないです。

「こういう概念がある」ということが、頭に入っているだけで表現の幅がかなり広がるなー、と思いました。

パーツごと、キャップのつば、メガネの描き方も詳しい

↑キャップの「つば」の絶妙なカーブが難しい。

個人的に野球帽などの「つば」が苦手で、どうしてもうまく描けません。

メガネも苦手な方が多いかと思います。(個人的にこちらはフェチなので練習しました)

また手のいろんな角度や、足の指の曲がり方なども個別にくわしく解説してあります。

足や手の指の感じはリアリティにとても大切と感じています。変な曲がり方をさせてしまうととたんに絵がきごちなくなります。

とっくり勉強できてよい感じです。

動きのある絵が描ける

写真で見るリアルなザッザッとした「走る動き」と、アニメやマンガでのふんわりトントンとした「走る動き」って違うんですよね。

↑ジブリのフリー素材より。(舞台が水中なのもあるけど)アニメって軽やかに走る。

髪の毛はふんわり、身体の動きは重力が少ない感じで「ポーン、ポーン」と飛ぶように走っている姿が、イラストとしては見栄えがします

これはやはり写真ではあまり参考にならなくて、どなたかアニメーターかイラストレーターのかたのデフォルメされた絵から学ぶのが早道かと。

アニメ的なダイナミックな動きと、細長くてきゃしゃな動かしやすいスタイルを学べます。

個人的にはもっとリアルに肉ついて寸胴体型のキャラが好みなのではありますが、動きのあるシーンを描きたい場合にとても参考になります。

↑写真でのリアルの走る姿はやっぱりなんか重め。

欲を言えば清書してほしい

作例が多いせいもあるのか、表紙そのままのラフスケッチ的な絵柄です。

できれば清書したイラストをなぞりたい……。

服のシワとシワの継ぎ目が合っていない、フリルがごちゃっとしている……。

でもまあ結局のところ「自分の下描きをもとに清書する」という工程もしなきゃならないので、これはこれで「線を選んで清書する」練習だと思って割り切りました。

そのへんの不便さを補って余りある作例の多さと、アングルのバリエーション豊富さです。

著者の「toshi」さんって?

アニメーターさんのためか、あまりお名前を全面に出したお仕事はほかに寡聞ながらお見かけしたことがありません。

巻末の著者紹介には「郵便切手や年賀はがきのイラスト、広告デザインやグラフィックデザインも手がける」とあります。

ほかに作画教本的なご著書として『キャラに生命を吹き込むイラスト上達テクニック 1巻2巻3巻、『アニメーターが教えるキャラ描画の基本法則』『超技巧!人物作画テクニック ディテールから見えてくる、本当の線の捉え方』(いずれもエムディエヌコーポレーション)があるようです。

こちらも使い倒したのちレビューする予定でおります。

レビュー「ゼロから学ぶプロの技 神技作画」toshi 練習帳なぞるべし:まとめ

  • 写真資料ではなかなか見つからない、いい感じの角度のイラスト的に美しい人体パースのついた絵が学べます。
  • 付録「なぞって覚える練習帳」がついているが、本文の作例をぜんぶトレスして練習するのがおすすめ。
  • 人体は細長く描くとイラスト的に見栄えがするんだなぁ、と実感。
  • 考えたこともなかった球形パースとかを知って刺激になった。

あとからペラペラめくったりしてもポージングの参考になると思います。

という意味でも、紙の本で手に入れるのがおすすめです。

今回は以上です。

ゼロから学ぶプロの技 神技作画』toshi著 KADOKAWA