【いずれは】地方住みのまま漫画家になるには【上京?】

漫画家を目指すには、東京近郊に住んでいたほうがやはり圧倒的に有利です。
非常にシビアな言い方をすると、
絵や物語を作るのが上手ければ上手いほど、地方在住のままでも漫画家になれる確率があがる。
という傾向があると思います。
なぜなら、絵や物語力がイマイチな人は、ほかの部分で営業したり、プロの現場に身をおいて生の技術を学んだりする必要があるからです。
つまり、たとえば次のようなことです。
- 編集さんに実際に会って、信頼を得る(できれば何度も定期的に会う)
- 尊敬する漫画家さんの現場にアシスタントに入る
- アシスタント仲間と交流し、情報を得る
漫画家志望の人が「東京近郊でひとり暮らし」をしたほうがいい理由については、
以下の記事にも書きました。
漫画家になるのにいちばん大事なことは、漫画を描くこと
いっぱい漫画を書いて、編集さんに見つけてもらう

ただ、地方住みが不利だというだけであって、無理ではない。
漫画家のなり方は人それぞれ。
同人誌からスカウトされる作家さんも、自分のブログやホームページにアップしていた漫画が商業的に売れた作家さんも、いろんなケースがあります。
地方にいても東京にいても、脳内だけではなくリアル世界に、他人に見てもらえるかたちで現物の漫画作品を生み出さないことには、漫画家にはなれません。
その基本を見失わないようにしつつ、この記事では、なるべく地方に住んだままで効果的に漫画家になる方法をさぐっていきます。
地方住みのまま漫画家を目指すメリット・デメリット
ここで、地方住みのまま漫画家になることの利点、不利な点をまとめてみます。
地方住み(=実家住み)で漫画家を目指すメリット

- 生活費が安く済む
- 遊ぶ場所が東京近郊よりは少ないので、集中できる
- 家族や自分が病気などの場合、助け合える
- ペットといられる
- 編集さんとの人づきあいが避けられる
- 生活習慣がさほど乱れない ⇒ 長期的に見て健康にプラス
- 家事はあまりしなくてもよい(?)
- 親の近くにいれば、親は安心してくれる
地方住み(=実家住み)で漫画家を目指すデメリット

- 家族の目がある。マンガに浸りまくる生活はできない。
- アシスタント先が少ない。
- アシスタントに行くにも家族の理解が必要(泊まりの場合など)。
- 編集部にマメには行けない。顔つなぎができない。
- プロの生原稿や、美術作品にふれる機会が少ない。
- 都会で生活している人の実感覚がイマイチつかめない。……(マンガの舞台は都会なことが多いので、けっこう深刻かと)
ちなみに:編集さんと会うことにより、細かい仕事をもらえる実例

自分の話で恐縮ですが、デビュー当時は大学の近くで東京のけっこう都心部に住んでいました。
編集部から電話がかかってきて「入賞したからいちど食事でもしましょう」と。
で偶然、私のアパートから徒歩5分のところに住んでいたわりと大御所の漫画家さんのところにアシスタントとして紹介してもらいました。
当時は会社づとめを始めていたので、たまにしか行けませんでしたが。
また、連載のときは毎月、編集者さんと実際に会って打ち合わせをしていたので、細かい仕事をもらいました。
- 「新人漫画賞のお知らせ!」のコーナーに載せる、1ページ漫画(広告ページが1ページだけあまった場合、普段はカットだけなのだが、漫画を1ページ増やして雑誌全体のページ数を合わせるのです)
- 増刊号の表紙裏&裏表紙裏に載せる4コマ漫画
- 読者投稿ページをもとに再構成した実話漫画
細かい仕事とはいえ、これらはちゃんと1ページ描けば1ページの原稿料がもらえるので、仕事の少ない時期にはかなり助かりました。
地方住みで漫画家を目指すメリットは大きい
上で見てもらったとおり、漫画の実力さえあれば、地方で漫画家を目指すのはかなり利点が多いです。
東京近郊に住むメリットは、ほとんど「漫画の実力のなさを補填するもの」であるのがおわかりいただけるのではないでしょうか。
(というか、逆に「地方で漫画家になれる人は天才に近いレベルである」ともいえますが)
ただ、漫画家として実力がなかった場合は……

そんななか、何年もデビューできなかった場合は、
思い切って、上京を考えてみるのもわるくないかもしれません。
2年くらいに期限を切って、それまでにデビューできなかったら諦めるとか、
連載がとれなかったら3年で帰るとか。
「東京へ行ったところで、家賃が余計にかかる分のお金を稼がなくてはならないし、家事などの時間もかかる。地方にいるのよりも条件がわるくなるのではないか」
そうかもしれません。でも、
環境を変えてみることで、何か変化があるかもしれません。
どうしても、「漫画家になる」のが大切なら。
人生でこれだけは、実現しなくては心がしんでしまう、という願いなら。
漫画より大切なこと

私がデビュー前、大学生だったころ、知り合いの男子がとある有名な青年誌の漫画賞に入賞しました。
入賞式にも出て、その賞の名前を冠している大御所の漫画家さんにも会ったそうです。
だけど、彼は漫画家にはなりませんでした。
彼のお母さんはバーを1人で経営していたのですが、体の調子を崩してしまい、彼が全面的に店を手伝うことになったのです。
母ひとり子ひとりの家庭です。ほかに頼る人はいかなったようでした。
とても忙しく、「漫画を描いている時間がない」と。
もったいないなとは思いましたが、彼は、たぶんお母さんがとても大事だったのです。
漫画よりも。
今ではお母さんも回復して、本人は漫画家ではない別の仕事につき、結婚してお子さんもいるようです。
それも素敵な選択だったと思います。
漫画家になるには、やっぱり上京をおすすめしちゃいます
漫画家になることが最優先? 人生の優先順位を考える

漫画家にどうしてもなりたいのか、それともほかに大事なことがあるのか。
「やっぱ漫画だな!」って場合は、なるべく早い段階で東京近郊に住むことをおすすめします。
とくに、進学や就職がまだの方。
これらは親を納得させるだけのパワーがあるイベントなので、ぜひ前々から計画的に動いて、東京に進学・就職する流れをつくっときましょう。
東京から遠方だとか親が過保護で反対している場合、とりあえず地元にいるままでもいいので、上記のタイミングをうまく利用してなるべく早く実家を出てひとり暮らししちゃいましょう。
その後、就職や転勤、転職を理由に移動しやすくなります。
地方住みだとよくわからない東京の生活

私の知ってる漫画家さんは、20歳ごろデビューしてずっと地方で活躍してて、38歳のときに連載の途絶えたタイミングで、東京近郊に引っ越してきました。
「最後のチャンスだと思って……」と言っていました。
ずっと東京と地方で、電話でだけ編集さんとやりとりしていると、現場がどうなっているか知りたくなるものみたいです。
でもこれはずっと漫画家だったから、好奇心があったからのレアケースで、志望者とかでいると、30歳にもなると腰が重くなります。
動くならなるべく早くがいいです。
あと、やっぱり、私も東京にいてたのしかったんですよね。
漫画の現場をたくさん見れましたし。
ほかにも、テレビの中の世界だけだと思っていたものが、本当に実在した。
物資が豊富。いろんなものがある。
なので、東京。
住んでみるのもいいものです。
もともと東京うまれだよ、って人は……、
漫画家志望者の中では、超・勝ち組だよ! よかったな、おめでとう!!!
【いずれは】地方住みのまま漫画家になるには【上京?】:まとめ

- 地方で漫画家デビューできるならそれに越したことはない
- デビューできなければ東京に行ってみるのも有意義!(必ずデビューできるという保証はないが)
- 漫画より大事なこともあっぺな!
- 東京はかなりおもしろいので住んでみるといいよ
以上です!!