プロ漫画家であるために

漫画家志望者がネタに困ったら、落語を参考にするといい理由

漫画でストーリーづくりのちからをつけるには、とにかくいろんな映画や小説を見まくる、そして分析する。というのが王道です。

物語を「分析する」やりかたを具体的に実例で学べるのが、中島梓『小説道場』だという記事を書きました。

漫画家になるには――ストーリーづくりに威力を発揮する魔本マンガのストーリー力を向上させるコツが書かれた本。 といったら、中島梓の『小説道場』1~4巻、が圧倒的におすすめです。 こん...

今回はべつの切り口で、チートとして「落語」をおすすめします。

こんにちは。漫画家として13年ほど生活し、現在は会社員のネコム(@necom_anarchy)です。

落語、ほんとにいいです。つかえます。

たんに聴くのも、個人的に好きです。柳家喬太郎さんが好きです。

漫画家がネタに困ったら参考にしたい「落語」

落語は日本人に好まれる話の「型」がある

江戸時代から演じられてきて、現在も残っている落語には、日本人に愛されつづける「型」があります。

・怠け者がひょんなことから、濡れ手に粟の大儲けをした。が、じつはそれは夢だった(芝浜)。

・身分のとても高い人が、お忍びで庶民の生活をしたことがきっかけで、庶民にとっては馴染み深いチープな食べ物がとても気にいる(目黒のさんま)。

・見栄をはって仲間内でホラふき勝負をしていたら、あとに引けなくなって恥をかき、ひどい目にあう(ちりとてちん、蛇含草)。

また、ことわざや慣用句などとしてもわたしたちの生活に深く根づいています(まんじゅうこわい、寿限無)。

落語をくわしく知っておくと、漫画の話づくりに詰まったときに、いろんなバリエーションが思いつきやすくなります。

そして、それは大衆の好む方向性に沿うことが多いです。

喜劇のみならず、悲劇から怪談まで。とくに「転」がうまい

落語はしっとりした話からギャグまでさまざま。短編SFや哲学のような話も多いです。とくに発想の転換をうながす「」の部分があざやかな話が多い。

死人がじつは死んでなかったとか、騙そうとしていたほうが逆にうまく騙されていたとか、安心していたらどうしようもない事態まではめられていたとか。

これはストーリーづくりにとても効きます。4コマの落ちなどにも応用できる。

どのような方向で、バリエーションで、読者の期待を裏切ればいいのか。落語に親しんでいくと、方向性がいくつも見えてきます。

落語が漫画のネタに参考にし放題な点「著作権がない」

もちろん落語について書いた本や、映像作品などをそのまま使っては著作権侵害になるのですが、大まかなストーリーを流用するのであれば自由です。

日本ではほぼ「みんな知ってる話」あつかいです。

物語ぜんぶが落語が元ネタだと、「みんな知ってる話」だけあって逆に面白がってはもらえないでしょうが、

物語のなかのひとつのエピソードが落語ベースな程度だと「ああ、アレか!」「こうきたか!!」と、好意的に受け止められることが多いと思います。

落語のストーリーは本で読んだほうがいい理由

昔に録音された名作落語は、音声がとても聞きとりにくい

落語があまり普及しない問題点はここだと思っておりまして、「よし、落語を聞いてみるぞ!!」とはりきって名作と言われる録音を聞いても、なにを言っているのかわからない。聞きとれない。

録音状態がわるいのに加えて、名人と呼ばれるような年齢になった落語家は、老齢なことが多くしゃべりがはっきりしないのです。

落語通はその「なに言ってんだかわからない」話を、もとの内容を知っているのでだいたいどこをしゃべっているのかわかるので、それで笑う。

いかに聞きとれない話で喜んで笑うかというのが、通のあかし、みたいになっている部分があると思います。

そのへんは初心者はあきらめて、本で読んでストーリーをまず知る、のが現代に落語をたのしむ方法かと思われます。

文庫で1500円前後とけっこうしますが、講談社の「古典落語」なんかがおすすめです。辞書を読むように毎日少しずつ、1話~2話ずつのんびり読むのにいいと思います。

基本、お笑いの話なので、そんなに苦もなく読めるかと。むしろたのしいです。

映像作品だと脚本:宮藤官九郎の2005年のドラマ「タイガー&ドラゴン」がおすすめです。

長瀬智也と岡田准一が落語家を演じています。古典落語とからめて、現代のドラマが展開されていきます。クドカン節、炸裂です。つぎつぎ見てしまいます。

また、個人的に20代半ばの岡田准一が、神がかって美形。一見の価値アリです。

まとめ「漫画家志望者がネタに困ったら、落語を参考にするといい理由」

・昔から日本人に好まれる話の型が頭にインストールされる

・「転」の発想に強くなる

・著作権がない(アレンジして流用可能)

そんな感じです。

古典落語ばかりじゃなく現代落語もたのしいものがたくさんあるので、よければいっぱい聞いて寄席とかも行ってみてください!!

では!