プロ漫画家であるために

履歴書に「漫画家でした」とは書かないほうがいい理由

前回、「漫画家の再就職は会社員が最強」という記事を書きました。

漫画家を廃業したら、経済的に安定する正社員を目指せ!こんにちは。漫画家生活13年ののち、経済的に破綻しまして、正社員になり5年目のネコム(@necom_anarchy)です。 漫画家...

こんにちは。漫画家を13年経験し、経済的にうまくいかなくなり会社員に転職して5年めのネコム(@necom_anarchy)です。

では、漫画家から会社員に転職するために、履歴書の書き方はどうすればいいのか? 正直に「漫画家をしていました」と書いても落とされないものだろうか。

自分が会社に入ったときのことと、現在は中途採用の面接官もしているので、両方の体験談からご説明します。

履歴書に漫画家だったとは書かないほうがいい

(ただし、ウソにならない範囲で)

たとえば例外として、「企業や地方の萌えキャラを描く」「ゲームイラストを描く」みたいな業種の場合は、漫画家だったと書いたほうが有利になるでしょう。その場合は履歴書のほかに、マンガの単行本や刷り出しもぜひ持っていってください。歓迎されるでしょう。

一般の企業の場合は、やはり「漫画家」って、めずらしいです。ふだん生活していて、なかなか会わない人種です。

そんな人が採用面接に来た。ものめずらしさが勝ってしまいます。「会社の面接に来た人」じゃなくて、「漫画家さん」として扱われてしまいます。

世間一般の勝手なイメージから、「人づきあいとか下手かもしれない」「常識がないかもしれない」との負のイメージを持たれます。

これは漫画家に限らず、芸能人やプロスポーツ選手、人気商売と言われる人はみな、明かさないほうがいいと思われます。

めずらしい職種の人とは、いっしょに会社で働くというイメージがわきません。得体が知れないのです。おなじくらいの好感度の人が面接に来ていた場合に、あきらかに勝てません。敬遠されてしまいます。

では、履歴書にはどんな書き方をすればいいのか

職歴を偽ってはいけませんが、転職回数が多い場合など、重要なものだけを書いて短期間のものは書かないことも多いですよね。

わたしの場合、連載が途切れたときや締切に余裕があるときなど、継続的に校正のバイトに行っていたので、校正のバイトがメインだった期間と、漫画家業がメインだった期間をいっしょくたにして書きました。

(そのバイト先を「辞めた」わけではなかったので)

同僚の元プロスポーツ選手も、選手をしていた期間は履歴書には書いてありませんでした。

結婚や出産のタイミングで何度か転職経験があり、そのあいまで4年間くらいのブランクがあったのですが、採用側はそれを見逃していました。

(その期間に、プロとして活躍していたそうです)

あくまでも申し上げますが、「嘘にならない範囲で」これらのことを参考にして、ご自分の経験に即して職歴を書くとよろしいかと存じます。

ポートフォリオは、求められない限り持っていかない

履歴書のほかに、30歳をすぎたら「職務経歴書」も持っていくのが常識と言われます。

漫画家のほかに充実した職務経験があれば、ぜひ書いたほうが有利です。

またべつに、デザイナーなど美術系の業務の場合、ポートフォリオ(参考になる作品をまとめたもの)の提出を求められることがあります。

はっきり「提出してください」と募集要項に書いていない場合は、提出しないほうがじつは有利です。PhotoshopやIllustratorが「できます」とだけ言えば、相手側は勝手にスキルを高く見積もってくれます。

(実際に見せると、かなり業界の第一線で活躍している人の作品でもない限り、どうしても同業者にとってはアラが目につきます)

ポートフォリオ必須と明記されている場合は、相手側の会社のHPなどをじっくり見て、求められているだろうスキルを想定し、それに沿った作品をピンポイントで提出します。

たとえばスーパーマーケットなどのチラシをつくる会社に、センチメンタルな透過文字重ねまくりの水彩画っぽいデータを提出しても、イマイチなわけです。

フリー素材で食品のきれいに写っている写真を使って、最高においしそうに感じられるような文字を入れていきます。文章内容はもちろん、フォントと色もそれ風に。

面接を受ける会社ごとに、ポートフォリオを変えたほうがいいです。

自分の過去の作品をぜんぶ見せるぜー、みたいに何十枚も送るのは、効果的ではありません。企業側としては「これからどういう作品が作れるか」「クライアントの意図をうまく汲めるか」が何より重要です。

個人事業主だった漫画家は、会社員として優秀な存在

たとえ漫画家としてうまくいかなかったにせよ、個人事業主としての考え方が身についている漫画家は、企業人として有能な人材になり得ます。

経費についての考え方がそうとうシビアだったりしますからね。「会社の金だから」ってムダ使いとか、基本しないです。

むしろわたしは「制服もデスクもPCも、わたしが入社するのにこんなにお金かけて用意してもらって、ひえぇ。早く利益を出せるようにならなけりゃ」みたいに震えました。

正直、40歳ギリギリでやとってもらったので、なるべく誠心誠意おつかえしたいと思ってたりします。わりとマジで。

そんな感じで、会社員はたいへんなこともあるけど、仕事の中身が漫画家とほぼおなじ美術系を選んだらヌルゲーだし、安定してお給料ももらえるし、税金の計算は経理がやってくれるし、なかなかいいものです。

会社員、おすすめです。あなたがお望みなのであれば、いい転職ができますように。