マンガ技術関連

『最高の絵と人生の描き方』感想|絵描きの精神的バイブル|アニメ私塾

絵を描き始めて3年でスタジオジブリの入社試験に合格、という伝説でお馴染みの(?)「アニメ私塾」主催の室井康雄さんの本です。

アニメ私塾流 最高の絵と人生の描き方 添削解説80点付き

室井康雄さんの本は以前にも過去記事「絵の上達にお勧め「なぞる本」『アニメ私塾式キャラ作画上達ドリル』」でレビューを書きました。30日間なぞるだけで絵が格段に上達。自作の実例も掲載しました。

今回ご紹介する『最高の絵と人生の描き方』は、絵の技術書というよりは絵を描いていく上でのメンタルの持ち方に主眼が置かれた本のようです。

正直これ、プロ漫画家でいたときに読んでおきたかった。心の支えになっていたことだろう。

ちなみに、わたしはもと青年マンガ家です。13年ほど活動しましたが売れずに廃業。地元に戻り会社員になったりやめたりしているネコム(@necom_anarchy)と申します。

本書は右ページに1ページ完結の本文、左ページに「アニメ私塾」塾生さんの絵の添削例が載っています。

実際の作画の添削例ってめちゃためになる

過去記事「鳥山明のヘタッピマンガ研究所』は宝の山! ―もと漫画家による感想文」でも書きましたが、誰かが実際に描いた作品をプロが添削しているもの、ってとても具体的でためになります。

ほんと、「宝の山」って感じです。

「アニメ私塾」というように絵はアニメに特化しており、もと漫画家の視点で見ると新鮮な概念も多々あります。

構図において「目立たせたいものを中心に置く」という考え方はマンガにもありますが、「視線の誘導」という概念について言っている漫画家さんはあまり聞きません。

言葉だけで「視線の誘導」と聞いてもイメージできないと思うので、ぜひ実際の添削例を見て「なるほど!」と感じていただきたい。

塾生さん方は絵が上手い人が多いのでわたしが見ると「直すところなくない?」って感じなのですが、添削を見ると「そうだ言われてみれば、こここっちに反ってたほうがリアルっぽい!」な部分が多々。

自分で実際に描かずにこういう知見が得られるの、超お得でチートですよね。

絵の技術は「手」と「目」なので、「目」の部分はこれだけでも鍛えられます。ラッキーです。

絵の初心者・中級者・上級者にわけてアドバイスがある

ネットではさまざまな絵の上達についての方法論があふれています。が、自分の状況に合うアドバイスを採用しないと時間のムダ逆効果になることがあると実感しています。

というようなことを、過去記事「編集者のアドバイスは自分に合ったものを取り入れないとムダに悩む」でも書きました。

マンガでいうと「コマ割りができない」と悩んでいる初心者に、「コマ割はダイナミックに!」という編集者のアドバイスは毒でしかない。的なことです。

この本『最高の絵と人生の描き方』では、アドバイスにそれぞれ「初心者はこう、中・上級者はこう」って、それぞれのケースに合わせた内容が書いてある。ここがとっても素敵。大好き。

絵の上達法に、ネットで有名な「30秒ドローイング」というものがあります。これで形をとるのが上手くなる人もいれば、雑なクセがついてしまう人もいる。上手さは変わらず手が早くなる人もいる。

やみくもに有名な方法に飛びつかず、「自分は初心者かな、中・上級者かな?」と考えてからやってみることで、効果的な練習法を自分でカスタマイズしてみる視点が生まれます。

超・いいと思います。戦略的になれます。

たのしく絵の練習をしてもいい

この本を読んでいちばん「解放された!」って感じたのが、絵の練習はたのしくてもいい」というのを知れたこと。

絵の練習って、骨格と筋肉のなんかキモチワリーやつをひたすら描くとか、そんなイメージがありましたので。正直テンションあがらない。

内容のはしばしに、「たのしいまま上達してもいい」ってメッセージが込められていました。

漫画家になって、漫画家の知人がかなりの数、「マンガを描くのが嫌い」になってしまっているのを見てきたので、そしてわたしもそうだったので、救われました。

嫌いっていうか、作業自体はイヤじゃないんだけど、心が重いというか。苦痛というか。

「あんなに、親に隠れて寝る間も惜しんでマンガ描いてたのに、なんでこんなになっちゃったんだろうね」としんみり言い合った日もあった。

でも、たのしくてもいいらしい。たのしもう。たのしんでいよう。

心が軽くなりましたよ。

『最高の絵と人生の描き方』感想|絵描きの精神的バイブル|アニメ私塾:まとめ

そんな感じで、絵を描いていく中で、心の支えになりそうな本です。自分的に精神的バイブルです。

  • 添削例が80点ありめちゃ参考になる
  • 初心者・中級者・上級者にあったアドバイスがある
  • たのしく描いてもいい(心の支え!)

絵を描くのがつらく感じてきたら、また読み返したいです。

今回は以上です!

アニメ私塾流 最高の絵と人生の描き方 添削解説80点付き