漫画家のなり方

漫画家になりたい。反対する親を説得する方法

結論から言うと、労力のムダなので「説得」はしないほうがいいです。

たぶん、いくら話し合っても説得されてくれません。

説得しないまま、しれ~っと夢、叶えちゃいましょう。

こんにちは。プロ漫画家歴13年、マンガ好き歴一生、ネコム(@necom_anarchy)です。

なぜムダか? ――何度も親と話し合い、消耗し、でも結果は変わらない。

親の世代にとっては公務員・正社員がガチ鉄板で安定、安心

私もなんども話し合ったのですが、平行線です。聞く耳持たずです。

親の価値観は、変わらないと思います。

本能的に、親は子を守るプログラムが働いてしまう

親はたいていの場合、「子供が不自由なく行きていく」ための責任がある、と無意識的に強くインプットされています。

その目的のため、世界のすべてを総動員してもなんら恥じるところがありません。

さらに、目的を叶えるため、当の子供にも協力してほしいんです。

「子供の安全を願っている」

その尊い思いを、子供自身に足を引っ張られるような事態になってほしくない。

子供が何不自由なく行きていくために、安定した仕事に就いてほしい。

ありがた迷惑な話ですが……。

また、大金持ちなら別ですが、親にも老後の不安とかあるわけです。

少女漫画の神様も、60代になっても

少女漫画の神様と言われている萩尾望都先生も、

いまだに、親御さんからは「まともな仕事についてほしい」と言われるそうです。

(記憶に間違いがないなら、そんなニュアンスのことをおっしゃっていました。

萩尾望都 | 浦沢直樹の漫勉 | NHK 2016年3月3日Eテレ放送にて)

私も30代後半になっても、マンガで食えていても、言われました。

漫画家になるための進路:専門学校か、美大か

 「漫画家になる」のに有利な学科は?

さて、あなたがさしあたって悩んでいるのは、進路についてではないでしょうか?

マンガの専門学校か、美大へ行きたい。

そして技術を磨きたい。どっぷり、創作のための時間をとりたい。

気持ちは痛いほどわかりますが、ちょっと待ってください。

そういう学校へ行くことに、親御さんが同意してくれるのならいいのですが、

そうでないなら、マンガ系の学部に行くことは、おすすめしません。

漫画家には必要ない? でも自分にできうる最高の学歴&職歴を!

たとえば、マンガを描くとき。

いろんな舞台、いろんな登場人物、が考えられると思います。

「私は、ファンタジーしか描くつもりがない!」というのなら、これ以降の話は読まなくても大丈夫です。

でも、そうでない場合。

学園ものや、会社が舞台のものを今後、描いてみたい予定がある場合。

できれば、大学に入って、新卒で一流企業に入社してみる。

というのを、強くおすすめします。

これは、人生にチャンスがほぼ一度きりです。

(入試も就職も、浪人という手はありますが)

漫画家にとっての宝。体験による圧倒的なリアリティ

30代、40代になってからは、同世代と大学生活を過ごして、就職した。という経験は、もう絶対に得られません。

お金や、学力のこともあるでしょうから、“自分のできうる範囲で”でかまいません。

学生のうちだけ本気で全力を出して、将来の作風をひろげるために、投資してみませんか?

一般的に多くの人が経験している場所が舞台の場合、それを「経験せずに描く」ということは、かなり無謀です。

「プッ、なにこいつ、大学のことぜんぜんわかってねーんじゃん」

「会社って漠然と描いてるけど、仕事してるシーンないじゃん」

みたいな、“リアリティのない”作品になってしまいます。

漫画にいかす実体験:たとえば、大学の授業システム

中高生の時点で、大学の授業システムって、けっこう謎ですよね?

「単位を取る」「きょうは2限が休講」なんて言葉、聞いたことがあると思います。

大学の授業は選択式で、年度のはじめに「履修登録」という届けを学校側に出します。

「必須科目を○単位」「選択必須科目を○単位」「自由科目を○単位」以上とると卒業できて、また1年に○単位以上はとっていないと進級できない、など決まりがあります。

なので、午前中に講義を集中させて午後はバイトの時間にあてる、とか、

必須科目の関係で木曜日は1時限しか授業がない、などの状況になります。

大学の「サークル」という存在

「ひまな時間はサークルに顔を出したり」。

この「サークル」というのも、中高生時代の「部活」とは、かなりニュアンスが異なります。

大学に行ってさえいれば、コミュ障であっても、まわりのようすを見ていればそれらのノリがなんとなくでもわかりますが、

「大学へ行った友達」の話で聞くだけだと、なかなか現場の空気はつかめないと思います。

くりかえしになりますが、

マンガの舞台を増やすために、行けるのであれば大学に行く、

それもなるべくなら学力の高いところ。

また就職も一流の大企業に。

というのを、強くおすすめします。

じゃあ漫画はいつ描けばいいのさ?

結論から言うと、今すぐ描いてください。

考えてもみてください。

もし投稿作品が賞をとって、晴れてマンガ家としてデビューできたとして。

翌月から連載が持てる、というのはきわめてまれなケースです。

たいていは、読み切りを何作か掲載してもらって、

読者からの評判がよければ、そこで初めて企画を出して、

企画が通ってはじめて、連載がスタートします。

その間は定収入はありません。

つまり、学校なり仕事なりは、やめられません。

マンガの仕事が軌道に乗るまでは、どちらにせよ、兼業をせざるを得ません。

 12歳でデビューした天才マンガ家!

あなたがもし、12歳でデビューした天才マンガ家だったとしても、

義務教育を終える中学3年生までは、学校に通わなければなりません。

そのあいだは、学業もしながら、連載をすることになります。

それなら、まだデビューしてないうちから、

そのペースでマンガが描けないとおかしい、やっていけない、と思いませんか?

実際にデビューをしたら、学業優先とは言われないかもしれない。

ちょっとはマンガ優先でいいと、周りから許してもらえるかもしれない。

でも、基本、日中は学校に行って、余暇でマンガを描くのは変わりません。

昼は社畜! 夜は売れっ子マンガ家!

社会人になってからデビューしてもおなじです。

たいていの場合、すぐには会社はやめられません。

なので、まず、今すぐにデビューしても対応できるように、

作品をつくるペースを、学業・仕事をしながらしだいに、

ととのえていってみてください。

(ちなみに私は12歳の初投稿時から、波はありますが2~3か月に1度、16ページの投稿用作品を仕上げて投稿していました)

漫画家として経済的に独立するために必要なお金の話については、「【原稿料】漫画家の収入。月24ページ描けばギリ暮らせる!【印税】」でも書きました。

漫画家になるために、親は関係ない

そうなるともう、親の許しがどうこうは、関係ないと思いませんか?

あなたは、学業なり仕事なり、“やることやって”、その上でマンガ家になったのです。

親御さんのタイプによって、「マンガを描いているなどとは絶対にバラせない」、

「趣味で描くぶんには応援してくれる」など、いろいろだと思います。

でも、一般的な生活をあなたが(マンガと並行して)やれている限り、

なにも文句は言えないハズです。言われる筋合いはありません。

どうぞ、親御さんを説得しようとせず、それでもマンガ家になってください。

マンガ家になって生活できるようになってから、初めて「こういうことしてるんだけど」と言ってみてください。

そのとき反対されたら、……いえ、もう反対はできません。

あなたはもう、マンガ家なのですから。

まとめ:漫画家になりたい。反対する親を説得する方法

・親と討論しない(ムダ)

・できる限り上位の学校や会社に行く(取材)

・学校や会社に行きながらマンガを描く

・マンガ家として生活が安定してから親にバラす

以上です。

ヒットメーカー、ジャンプ連載漫画家・樹崎聖による超実践的な漫画指南書。