漫画家のなり方

漫画は1ページ6時間以内に描かないと食えません

「プロ漫画家として生活してゆくのに、1ページどのくらいの時間をかけたらいいんだろう? いまは学校や仕事があって遅いけど、専業漫画家になったときにやっていけるスピードなのかどうか概算が知りたい」という方へ向けての記事です。

こんにちは。プロ漫画家として13年生活しまして、経済的に破綻して、現在は会社員をしていますネコム(@necom_anarchy)です。

隔週刊、月間、隔月刊の青年誌でおもに描かせてもらっていましたが、自分のめやすとしては1ページにつき「下描き2時間、ペン入れ2時間、トーン1.5時間」のペースでやっていました。

漫画家として食うには月に24ページ以上が必要

逆算になりますが、東京でアパートで一人暮らし、アシスタントなしの場合、月24ページのペースで描かないと生活はむつかしいと思います。

くわしい試算については「【原稿料】漫画家の収入。月24ページ描けばギリ暮らせる!【印税】」の記事に書きましたので、ご参照ください。

アシスタントさんをやとう場合、すでにまとまったお金がない状態で原稿料をアテにしてアシスタント代を払おうとすると、資金ぐりに確実にムリが出ます。

アシスタントさんをお願いするのは(どうしても緊急の場合をのぞいては)、コミックスが出て印税が入り、なおかつ連載が続いている状態で、をおすすめします。

閑話休題。さて、月24ページといったらほぼ1日1ページ描く計算です。

ネームの時間もそれなりにとらねばなりません。一発OKならいいですが直しが2回3回と入るとキツイです。月イチ24ページの連載だとして、最初の1週間でほぼ完成形のネームを仕上げて提出している必要があります。

わたしの当時の感覚ですが、ネームにかけていい時間は10日まで。資料撮影の日や体調のわるい日も考えて、1日2ページを完成させるペースで考えたほうがいいです。

ネームの直しにOKが出なくても、1週間を過ぎたら「もうこの部分は直しは入らないな」というページから順に、コマ割り程度は進めておきます。

頭の中でネームの直しを考えながら、コマ割りの線を引きます。コマにはみ出して描くシーンはあらかじめ下書きしてペンを入れておきます(アナログ作画の場合)。

自分の場合はコマ割り→人物の下描き→人物のペン入れ→背景の下描きとペン入れ→トーン、を全ページほぼまとめてやっていました。

煮つまったらほかのページに飛んだりもしていましたが、冒頭でいったとおりだいたい下描き1ページにつき2時間、ペン入れ2時間、トーン1.5時間をめやすに進めていました。

ほかホワイト仕上げ(はみだした部分を消す、キラキラを足す)、セリフを読みやすい字で入れ直す、などの作業もあるので、予備が0.5時間です。

漫画家が絵柄を変えることも商業的には必要

「このページむつかしいし、時間がかかりすぎる」となったときには、人物のポーズを変えたりアングルを変えたり、背景を簡単なものに変更したりしました。やむをえず。

内田春菊先生は「仕事が多くなってきたので、絵柄をシンプルな線に変えた」と、どの本かでおっしゃっていて、なるほど初期の線が多めの絵から、デフォルメされた絵柄にある時期から変わってらっしゃいます。

読み手としては残念な側面もあるのですが、商業として漫画をやっていく上で、そういう工夫は必要になってくる面もあるかと。

逆にアマチュアのうちに自分の描きたいものを納得のいくまで描く、という経験を味わいつくしておくのがいいかもしれません。

自分でこれを書いていて思いましたが、ほんとうに、時間に追われる生活でした。

睡眠時間は月の1/3くらいは、「3時間だけ仮眠して眠気を飛ばしてからまたずっと作業」といった感じで、昼も夜もありません。

レタスは催眠物質が入っているというので、いっさい食べませんでした。どうしても眠くて気を失いそう、というときはカフェインの錠剤を飲んでました。

だって一発でねらった絵が描ければいいですけど、やっぱり思った絵がなんども描き直しても描けないんですもん。

「自分評価で10点/100点満点中」という作品を編集さんに手渡さなければならない情けない思いもしました。

1ページに思いをこめることも必要だけれども、バランスもとってください

できれば余裕のある作業ができるに越したことはないですね。

納得できない絵もあるけれど、前に進まなきゃいけないこともある。

いやー、思い返して本当に死なないでよかった。

以上です。バランスのよい漫画家生活をお過ごしください。