忘年会の季節です。2020年の忘年会、各出版社であるんですかね。コロナですけどね。
新人漫画家さんで、招待されて行くかどうしようか迷っているかた向けに、自分の思い出を書いてみます。ゴシップ的な内容です。
ちなみにわたしは2000年~2013年くらいまでボチボチ青年漫画家をしていまして、あまり売れていなかったネコム(@necom_anarchy)です。
出版社の忘年会には、アシスタント先の先生に誘っていただいて1度だけ行ったことがあります。
売れてないと身の置きどころがない。地方住みの新人なら行かなくてもいいかも

みなさん、売れっ子の漫画家さんのおまけ漫画とかで出版社の忘年会のシーンを読んだことがあるかもしれませんが、売れっ子じゃないとほんと、身の置きどころのない空間です。
どの人が誰先生とかわからないし、知り合い同士の人がいないと紹介してもらえない。担当さんも準備や、偉い先生のところにつきっきり。
わたしを連れていってくれたアシ先の先生も、「誰も話す人がいないと心細いから」という理由でわたしを誘ってくださいました。
わたしも同じ雑誌に3年ほど描いていたのですが、新人でページ数もごく短かかったので、売り上げとしてまったく貢献できていませんでした。
なので、3年間連載していて、呼ばれたことナシ。というか、忘年会が毎年おこなわれていたこと自体を初めて知りました。
「忘年会に参加できて嬉しいっ」て気持ちよりも、正直、傷ついた。
出版社的には、豪華なパーティは結婚式みたいなもので、参加者1名にたぶん2~3万は料理などの予算がかかるわけで、仕方ないんですけどね。
いちど呼んでしまうと、翌年から呼ばないってわけにもいかないし。連載が終わらない限りは。
ていうか、わたしを誘ってくれた先生は「話す人がいないと心細いから」と言っていたわりには、知り合いの作家さんを見つけてガンガン話しに行ってしまって、わたしはずっとひとり。置いてかないでくれ~。
いや、売れておらず出版社から正式に作家として招待されていない身で、ここに来れたのはありがたいんだけど。経験としては。
出版社の忘年会の行き方(物理的に)

出版社で忘年会があるかどうか(日時や場所等)は事前には、招待された作家にしかわかりません。
有名作家さんも参加するので、ストーカーぎみのファンの人に知られたら厄介だからです。HPなどにも一切、掲載されません。
(事後報告的にレポ漫画を描く作家さんからの情報のみです)
だいたい出版社近辺の有名ホテルのパーティ用ホールで行われることが多いと思います。
わたしが連れて行ってもらったときは、まず出版社の1階ホールに20名くらいの新人~中堅作家さんが集合。編集さん2名に連れられてパーティ会場のホテルまで徒歩で移動しました(徒歩1~2分です)。
ほか、たぶん大御所作家さんは、アシスタントさんとともにハイヤーがお迎えに上がったりする感じかと思われます。
大御所作家さんは、出版社から招待されるときに編集者から「一緒にアシスタントさん何名か連れてきてもらって大丈夫ですよ」と言われます。
何名アシスタントを連れてきていいかは、作家さんの売れっ子度合いによります。雑誌の看板作家と言えるレベルなら、アシスタント全員を連れて行ってもOK。
そこまで行かない場合は、作家さん自身が慎重に自分の立ち位置を考えつつ、アシスタント各人の作品への貢献度などを考えつつ采配します。いわゆる「空気読む」能力が必要とされます。
「『アシスタント連れてきてもいい』とは言われたけど、自分の場合はそこまで売れてないから5人とか連れてっちゃマズイよなー」的な感じです。
いろんな作家を傷つけている出版社の忘年会(呼ばれるか/呼ばれないか):基準は金

忘年会に招待されるかの基準は、雑誌に連載しているかではありません。
出版社も商売です。ようは「接待」なので、お金になりそうな作家だけに「来年もうちをなるべく優先して描いて、いっぱい稼がせてください」というお願いの会です。資本主義である以上、これは仕方がないですね。
なので、
- 連載してなく、読み切り1本だけをゲストで描いたことある有名作家さんが、アシスタントさんごと呼ばれる
- 何年も連載してるけど、あんまり売れてない作家さんが呼ばれない
的なことがザラに起こります。
とある作家同士のお友達が多い作家さんなどは、世間話で「今年は忘年会あるんですか?」と編集さんにきいて、「今年はやらないんですよー」と言われた。
だが、実際には忘年会は行われていた。
のを友人作家さんから聞いて、怒っていました。「呼ばれないなら呼ばれないでいいけど、やらないって嘘つくことないだろ」的に。
編集さんも「あなたを呼ぶ予算はない」とも言い出せず、なかなかむつかしいんだろうなと思います。
いろんな人を傷つけている忘年会です。
ホテルの会場を借り切ってまでやる忘年会は、バブルのときに盛大になった風習だろうと思いますので、コロナを機に廃れてもいい気はします。
自分も正直、いい思い出ではないので。
それを乗り越えた人が売れた人、というのはでも真実ではあります。
安野モヨコ先生のエッセイ、どれで見たのか忘れてましたけど、「忘年会でみんなモデルさんや芸能人のキレイな女性にむらがって、いくらマンガが売れてても自分はあまり相手にされない」的な内容が描いてあったと記憶しています。
安モヨ先生ご自身はそれで奮起して、ダイエットに成功なさったとか。ご結婚前のエピソードだったかと。
傷ついてもそれを発奮の材料にできると強いですね。
わたしも「アシ全員まるごと呼ばれるくらい大御所になってやるー!」とか思えればよかったのですが、当時は暗いほうに心が行ってしまいました。
漫画家として生きていくには、心の強さ、めげなさもとても大事かもです。
忘年会、行かないのも(精神力をたもつための)ひとつの方法だと思います。
招待を断っても編集部としては「ふーん」程度。不義理とかは思われない

編集部から招待された場合、「行かないと悪いんじゃ……」と新人のうちは思ってしまうかもですが、編集部的には大御所作家さんの接待がメインなので、それ以外の作家は賑やかし。べつにどうとも思われないです。
地方住みで、まだ代表作がない状態だったら、断っても問題ないです。
編集者は当日は式の進行とかで大忙しなので、新人寄りの作家は少ないほうがむしろ面倒がないと思われる可能性が高い。
好奇心で行きたいんだったら、ぜひ行ってみることをおすすめします。ふつうに生活していたら見られない華やかな世界ではありますので。
ただ知り合いが参加しない場合、ぼっちになりそうなのは覚悟しておくといいかも。
漫画家の忘年会(出版社の謝恩会)は売れてないと居づらい【針の筵】:まとめ
- 出版社の忘年会は売れっ子じゃないとたのしめない
- 顔を知ってる作家さんじゃないと大物作家でもわからない
- 売れてないと編集からもほっとかれる
以上です。
当時のわたしは編集部からの自分の扱いをリアルに突きつけられたようでショックを受けてしまったのですが、いまブログネタになったので成仏させられたような気がします。
なんでも経験しとくべきですね。(時が経ったから言えることでもありますが)
今年は傷つく作家さんがいないようお祈りしておきます~。
では!